膀胱がん
膀胱がんとは?
膀胱には尿を一時的に貯め、それを意識的に排出できる機能があります。腎臓で作られた尿は腎盂―尿管を通り膀胱に送られます。膀胱がんの男性の罹患率は女性の4倍と高く、60歳以降で急増しています。
治療は手術を最優先します。膀胱がんのタイプで手術方法は異なりますが、早期の表在性膀胱がんは経尿道的に摘除されるのが殆どであり、治癒が期待できます。ただし、膀胱内の他所で再発を繰り返すことが多いので定期的に膀胱内視鏡を用いるなどして、念入りな注意が必要です。
術後の5年生存率はステージpT2期が86%。術後は再発を防ぐために抗がん剤や放射線治療を行います。ステージpT4期になるとの5年生存率が49%になります。
種類
膀胱がんには「表在性(ひょうざいせい)膀胱がん」「浸潤性(しんじゅんせい)膀胱がん」「上皮内がん」の3タイプがあります。
●表在性膀胱がん
病巣が膀胱の粘膜にある状態で、膀胱がんの70%がこのタイプです。転移はありませんが、何度も膀胱内で再発を繰り返します
●浸潤性膀胱がん
膀胱から壁外の組織へ広がる、転移しやすいがんです
●上皮内がん
悪性度の高いがん細胞があり、治療をしないでいると浸潤性のがんになっていきます
症状
初期症状には肉眼でもわかる血尿と排尿時や下腹部の痛みなどがあります。がんが進行するとひん尿や排尿時の痛み、残尿感、背中の痛みや尿路感染、腎機能の低下などの症状が現れます。
原因
リスク要因としては喫煙が第一に挙げられます。
生存率
術後の5年生存率はステージpT2期で86%、ステージpT3a期は77%、ステージpT3b期では43%、ステージpT4期になると49%です。
再発転移
膀胱がんで転移しやすい部位は肺、リンパ節、肝臓、骨などが挙げられます。
表在性膀胱がんは転移の恐れは低いのですが、膀胱内再発を繰り返すため、術後は膀胱内視鏡を用いるなどして、定期的な経過観察が必要です。
治療
治療は主に外科手術が行われます。
表在性膀胱がんは、膀胱内視鏡で確認しながら電気メスでがん組織を焼き切ります。
浸潤性膀胱がんは膀胱の全摘出と周囲関連リンパ節の切除を行います。この場合、尿を貯め、排尿を司る膀胱を失うため、その替わりに小腸を活用するのですが、当然、元と同じレベルの蓄尿、排尿は不可能であり、勃起能力も消失し、QOLとしては少なからぬ問題が残ることは避けられません。
膀胱がんは腎盂・尿管がんと同じく、移行上皮細胞由来のがんであり、当院では最近になって導入したNY-ESO-1ペプチベータ、WT-1ペプチベータ等のがん抗原を用いる樹状細胞ワクチン療法を積極的に患者様へお勧めし、更に、活性化Tリンパ球療法も併用することで抗がん剤治療がより奏功するよう、より慎重に免疫治療を施行しています。